神なるオオカミ

姜戎(ジャン・ロン)著/唐亜明・関野喜久子訳/講談社 2007年

これは、ほんと、読みごたえがあった。
長い!
が、時間を忘れる!
中国の内モンゴルの遊牧民の話。文化大革命の時代。
主人公は、放下されて内モンゴルにやってきて羊飼いの仕事にたずさわる漢民族の青年。
草原の自然のなかで、遊牧民が、バランスの取れた生き方を何百年も続けてきた、その根底にあるのはオオカミとの共生だと、主人公は考えます。
遊牧民のトーテムはオオカミです。
漢民族は竜・トーテムですが。
主人公は、オオカミに魅せられて自分の中にオオカミの血を発見していきます。
物語は、野生のオオカミの赤んぼう小狼(シャオラン)を育て、別れるまでが、リアルに描かれています。
背後の中国の政策や、人間のエゴも前面に描かれていく。

読んでいると、主人公に共感して、こちらまでオオカミに魅入られてしまいそうでした。