彼女たちの場合は

江國香織著/集英社 2019年

父親の仕事の都合で、一家でニューヨークに暮らす14歳の礼那と、事情があって居候している従姉の17歳の逸佳が、お互いの両親に黙って、旅に出る。「家出ではない」と書置きをして。目的は、アメリカを見ること。
旅先で、様々な人生と出会う。いいことばかりじゃなくて危険な目にも会う。
景色も、二人の心のなかも、描写がうまい。アメリカの?音やにおいも充満していて、一緒に旅をしているような気持になる。
題名の「彼女たち」は、礼那と逸佳のことだろうけれど、礼那の母理生那も含まれるだろう。二人の旅のなかで、理生那も変化する。彼女も、娘たちと同じく精神的に独立していくのだ。
主人公の周囲の人物に対しても思考を促すのが、小説の良いところ。