殺しへのライン

アンソニー・ホロヴィッツ著 山田蘭訳 東京創元社(創元推理文庫)

〈ホーソーン&ホロヴィッツ〉シリーズ第3作。
3作目に至ってもホーソーンは謎の人物である。ホロヴィッツのホーソーンへの不信感のせいで、読者までもホーソーンへの好意を抱きにくい。ただ、1作目から2作目へと、少しずつ彼の謎のヒントが見せられる。3作目でも、ラストでそれがあるので、4作目が待ち遠しくなる。作者はうまい!ストーリー本来の謎解きとホーソーンという人物の謎解きがからむので、シリーズとしてのおもしろさがある。

本作は、事件が起こるのは半分以上読んでから。それまでは、島に招待されてやってきた個性ある人物たちの小さな謎が語られていく。読み進めながら、いつどこでどんな事件が起こるのかを推理するのがおもしろい。そして、その推理も、犯人当ても、みごとにひっくり返される!