藤原彰子

ふじわらのしょうし

服藤早苗/吉川弘文館 2019年

吉川弘文館の人物叢書

中宮定子のサロンの華やかさに比べて、彰子のサロンは地味だという固定観念があった。それはそうかもしれないが、24歳で夫一条天皇を亡くし、29歳で国母となった彰子は、周りの者の協力を得て、政治家としての力を発揮し、87歳の人生を全うした。そのことを本書で初めて知った。感激!

《はしがき》より
平安時代の女性史・ジェンダー研究は、後宮女官や女房も含めて緒についたばかりである。ゆえにこそ、煩雑ではあってもなるべく多くの事象を丁寧にたどることを心がけた。彰子の生涯を描くことで、この時代の宮廷社会、ジェンダー構造もみえてくるはずである。

巻末の左京拡大図・一条院内裏中枢部概念図・平安京内裏図・土御門第想定図といった地図類と、略系図・乳母家司略系図といった系図類、略年譜は大変便利。さすが日本歴史学会の編集だなあ。