「ミステリー」カテゴリーアーカイブ

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伊坂幸太郎 角川書店 2023年

トリプルセブンは、スロットマシンでは大当たりの数。
殺し屋とか逃がし屋とかの業者たちがその技を競い合う弱肉強食のとんでもない世界。
笑える話。

ストーンサークルの殺人

M・W・クレイヴン 東野さやか訳 早川書房 2020年

主人公は国家犯罪対策庁の重大犯罪分析科の部長刑事ワシントン・ポー
謎解きはめっちゃ面白いんだけど、殺し方がむごい。しかも表現がリアル。
読み出したらやめられない(笑)
ポーのシリーズ
ブラックサマーの殺人
キューレターの殺人
4作目が楽しみ。

われら闇より天を見る

クリス・ウィタカー作 鈴木恵訳 早川書房 2022年

500頁を超えるずっしりとしたミステリー小説。
舞台はカリフォルニアの田舎町。
主人公ダッチェスは13歳の少女。物語は、少女とその弟をめぐって母親の友人や恋人たちの人生が絡んでいく。
ミステリーとしてのストーリーは、母親の妹がまだ幼いうちに命を落としたことから始まる。
ダッチェスは父親を知らないし、母親も殺害されるし、逃れた先の農場で守ってくれていた祖父も殺害される。
事件は凄惨なのに、当事者たちにほんとうの悪人はいないのが悲しい。
最初から最後まで登場する(副主人公?)の警察署長ウォークの言動に救われる思いがする。

ペッパーズ・ゴースト

伊坂幸太郎著 朝日新聞出版 2021年

ペッパーズ・ゴーストというのは、舞台装置を作る技術で、実像と虚像が同時に舞台に表れる効果。

主人公は30代の中学教師。迷いも悩みもある平凡な人物だが、他人の近未来を垣間見る不思議な能力を持つ。そのことで、他人をすくえたのではないかという悩みを常に持っている。

主人公に女子生徒が自作の小説を見せてくる。軽いサスペンスなのだが、その登場人物が、現実に現れて、窮地に陥った主人公を救い出す。
どこまでが小説なのか、どこからが現実なのか、わからないまま、ストーリーは軽快に進む。

小説内登場人物のロシアンブルとアメショーが、妙に魅力的。

殺しへのライン

アンソニー・ホロヴィッツ著 山田蘭訳 東京創元社(創元推理文庫)

〈ホーソーン&ホロヴィッツ〉シリーズ第3作。
3作目に至ってもホーソーンは謎の人物である。ホロヴィッツのホーソーンへの不信感のせいで、読者までもホーソーンへの好意を抱きにくい。ただ、1作目から2作目へと、少しずつ彼の謎のヒントが見せられる。3作目でも、ラストでそれがあるので、4作目が待ち遠しくなる。作者はうまい!ストーリー本来の謎解きとホーソーンという人物の謎解きがからむので、シリーズとしてのおもしろさがある。

本作は、事件が起こるのは半分以上読んでから。それまでは、島に招待されてやってきた個性ある人物たちの小さな謎が語られていく。読み進めながら、いつどこでどんな事件が起こるのかを推理するのがおもしろい。そして、その推理も、犯人当ても、みごとにひっくり返される!

シャーロックホームズ 絹の家

きぬのいえ

アンソニー・ホロヴィッツ作 駒月雅子訳 角川書店 2013年

シャーロック・ホームズの作者コナン・ドイルの子どもたちによって創設されコナン・ドイル財団は、現在もその子孫たちによって運営されていて、ドイルの著作権等の管理を行っている。
この『絹の家』は、ホロヴィッツが財団の認定を受けて書いたもの。いわば、ホームズのシリーズの続編である。
ホームズファンにとっては、ある意味待ちかねた続編。
ホロヴィッツにとって、ドイル作品は、師匠のようなもので、ホームズシリーズを研究し尽くしたうえで書かれている。
原ホームズ物より描写がリアルなのは、当時は説明などいらなかった周辺について、書き込んであるからだろう。
そのせいか、若い頃に読んだホームズよりも、人物がより生き生きと迫ってくる。