悪童日記

あくどうにっき

アゴタ・クリストフ著 堀茂樹訳 早川書房 1991年

アゴタ・クリストフは1935年ハンガリー生まれ。

小説の舞台「小さな町」はアゴタのふるさとハンガリーの田舎町クーセグ。
第2次世界大戦中、ハンガリーはナチスに占領され、ホロコーストも経験する。ソ連によって解放されるが、そのままソ連の統治下に置かれる。
現在のウクライナもそうだが、東欧の国々は独立国家として存在するために非情な苦しみをなめる。

主人公は、第2次大戦から戦後のそんな時代を生きる双子。父親は兵役にとられ、母親は、双子を「小さな町」の実母のもとに疎開させる。

「ぼくら」と一人称で描かれるため、どんな非道や、醜悪なことや、ショッキングなことも、少年の目で淡々と語られる。
きれいごとではない生き抜く力とは何かを実感させられる。

『ふたりの証拠』1991年、『第三の嘘』1992年との三部作。