月別アーカイブ: 2023年8月

紀ノ川

有吉佐和子 1959年 中央公論社 (1964年 新潮社)

和歌山県の紀ノ川沿いの素封家紀本家の花子が主人公。彼女を育てた祖母豊乃、娘の文緒、孫の華子と、明治大正昭和を生きる4代の女たちの物語。
さすがにテーマはかっちりしているし、視野が広いし、何より文章が良い。
有吉佐和子は学生時代にけっこうのめりこんで読んだのが懐かしい。

文庫版の後ろの広告に円地文子、大江健三郎、高橋和巳等の作品が並んでいて、そういう文学に親しんでいた学生時代だったと思いだした。

クスノキの番人

東野圭吾 実業之日本社 2020年

大きな洞のあるクスノキは、月の決まったころに祈念すると、その人の念を受け取って預かってくれ、血縁の人が受念することができる。遺言書といった形式では伝わらないもの、魂を受け渡すことのできる不思議なパワースポットだ。
孤独な青年の成長の物語りでもある。

赤めだか

立川談春 扶桑社 2015年

1984年、17歳で立川談志に入門した談春のエッセイ。
入門からの、談志をはじめ兄弟弟子たちのエピソードを交え、落語家としての足跡が語られる。
江戸落語の世界の慣習なども興味深い。